Japan color(ジャパンカラー)

Japan color(ジャパンカラー)という言葉は、カラー製版や印刷に携わっている方なら一度は聞いたことがあるとは思います。しかし、これが具体的にどのようなものか、どの様に使用するものか理解している人は少ないかもしれません。

簡単にいうと、ジャパンカラーは印刷における基準となる刷り見本のようなものです。この刷り見本をISOの規格で基準化したものがジャパンカラーで、日本の標準印刷の色基準です。

印刷における色基準というものは世界の各国にも日本と同様のものがあります。アメリカのSWOPやヨーロッパのEuro Standardも同様のものです。

ジャパンカラーには標準インキ、標準用紙、ベタ色標準測色値、ベタパッチ色見本および、色再現印刷など5つの標準ツールから構成されています。この標準ツールを元に印刷された印刷物が、ジャパンカラー準拠といわれる印刷物なのです。同じ絵柄を何社かの印刷会社で印刷を行った場合、ジャパンカラー準拠の条件が保たれていれば、印刷機の大きさや版の種類などが違っていても、近い仕上がりになるということです。

統一基準としてのジャパンカラー

校正刷りやプルーフと本刷りが同じ色のなることは重要な問題です。ジャパンカラー準拠という目標が決まれば、それに合ったものを作ればよいので色合わせという意味でもジャパンカラーという基準が便利なものとなります。

デザイナーのおさらい。オフセット印刷、簡単な仕組み

今回は印刷方法の中でも最も一般的な印刷方法であるオフセット印刷について説明します。

オフセット印刷は写真やグラデーションの再現性に優れているためCD DVDのジャケットや帯などもオフセット印刷で印刷しています。オフセット印刷とは凸版や凹版とは違って平らな版を使い、水と油の反発する性質を利用した印刷方法です。

製版段階

簡単にいうと、刷版にインキが付くところと付かないところを作って、インキを付けたいところを油性にして、インキを付けたくないところを水性にします。こうすると、インキは油性なので油性部分にしか付きません。

そしてこの刷版についたインキを転写して紙に写します。

印刷工程

この工程はまず刷版にインキを付け、その刷版の油性部分に付いたインキ部分だけををブランケットと呼ばれるゴムの層に転写し、それを紙に写します。紙が直接版に触れないためどんな用紙ににも適合する印刷方法です。

オフセットの限界

オフセット印刷は網点の組み合わせの濃度によって写真やグラデーションなどを表現するため多色刷りが非常にきれいに仕上がり、カタログやチラシなどあらゆる商業印刷物にひろく利用されています。プロセスカラーはCMYKの4色の組み合わせで、基本的に多くの色を表現できますが、限界があり、微妙な色のバランスで指定色とは違った色が出てしまう場合もあります。ロゴマークやコーポレートカラーなどイメージカラーがある場合は、あらかじめインキ会社でインキを混ぜ合わせて作った特色インキを利用することが多いです。

特色を指定するDICカラーチップを広げたところ

印刷インキについて ~インクとインキ、どっち?

印刷する際のインキ種類

印刷には様々な方式や印刷機があり、それぞれに対応するインキが必要になります。印刷は版式によって凸版、凹版、平版、孔版に大のできく分けられます。インキも版式による分け方でいうと活版インキ(凸版)、平版インキ(平版)、スクリーンインキ(孔版)などと呼ばれます。用途によるわけ方では新聞インキ、ポスター用インキなど非常にたくさんの種類があります。また製造方法によるわけ方では水性インキ、熱乾燥インキ、紫外線硬化インキなどがあります。また特殊なインキでは磁気を検出して文字を読み取る磁性インキ、香りをだす芳香ニスインキなど数多くあります。

環境を重視したインキ

現在一般的に使われているインキは、石油系溶剤が含まれているものがほとんどですが、SOYインキといって石油系溶剤の一部にまたは全部に大豆油を使用したインキが使われることが増えています。石油系溶剤を使った一般的なインキよりも、環境にやさしく、分解されやすいのでリサイクルしやすいというメリットがあります。印刷の品質も一般のインキを使った場合とほとんど変わりません。乾燥時間が一般のインキよりもかかるデメリットはありますが、昨今の環境意識の高まりから、今後はSOYインキに移行することは間違いないでしょう。

インクとインキ

インクとインキ、どう違うか悩まれることがあるかもしれませんが、答えは単純です。
主に商業印刷ではインキと呼ぶ方が多いです。一方、個人使用やそれに近いのものはインクと呼ばれることが多いです。

基本的なインキで印刷された印刷物が印刷機から出てくるところ

ちょっと難しい、専門的な印刷用紙の種類について

平版と巻取

印刷用紙は平版と巻取の2種類に大きく分けられます。平版とは1枚ずつ断裁された用紙で、巻取はロール状に巻かれたもので印刷機の種類によって使い分けられます。巻取は新聞や折込チラシなどの輪転印刷機による印刷の際に使用します。それ以外の場合は平版を使用します。CD DVDプレスの際のジャケットや帯などの付属の印刷物もすべて平版の用紙を使用します。

塗工紙と非塗工紙

弊社で用意している上質紙135kgとコート紙135kgの紙サンプルの比較

印刷用紙は材質別の分類として非塗工紙と、非塗工紙の表面に顔料を塗って滑らかにした塗工紙と分けられます。非塗工紙は書籍の本文用紙や新聞用紙やコピー用紙、ノート用紙などに使われ、品質別に上質紙・中質紙・更紙に分けられます。

塗工紙は上質紙と中質紙をベースに片面または両面に顔料を塗って光沢を出したもので、塗工量の多いものからアート紙・コート紙・軽量コート紙・微塗工紙に分けられます。カタログやパンフレットやポスターなど多く使用されております。

CD DVDプレスの付属印刷物もカラー印刷に適しており写真の再現性も優れているコート紙を使用しています。他の用紙を使用することも可能ですが、特別な用紙を使用した場合など印刷の価格は用紙によって変わる場合がありますので、見積りの時にお問合せください。

再生紙

再生紙とは木材パルプに古紙をを配合して製造された紙のことで配合率は1%から再生紙と呼ぶことはできます。また再生を繰り返せば紙の強度は弱くなります。紙の古紙配合率や品質を表すものでエコマークというのがありますが、エコマークを使うには古紙の配合率が70%以上でないと使うことができません。

再生紙が本当に環境に良いとはいえない面もあります。木材パルプから新しく作られる紙と古紙から作られる再生紙とでは製造工程が異なるため、製造過程のCO2の排出量は再生紙の方が多くなります。また配合率が高くなるほどCO2の排出量が多くなります。紙製品をすべて古紙100%にすることが環境にいいとはいえませんが、紙には様々な種類があるので、それぞれの使用目的に応じた美しさや強度を考えながら古紙の配合率を考え環境への影響を考慮して生産することによって再生紙は環境にやさしい紙ということができます。